2022 年 3 巻 J2 号 p. 104-111
鉄道の安全性の向上のためには,事故発生時の詳細な調査とそれに基づく再発防止策の策定・実施が必要不可欠であるが,現状の事故調査では,初動調査に要する時間や,現場状況の保存,調査後の情報共有等の観点から,より効率的かつ効果的な調査手法が求められていた.そこで本研究では,画像解析技術の一つである SfM 多視点ステレオ写真測量を,実際の鉄道車両の脱線事故調査に適用し,その適用可能性を検討した.その結果,現場で撮影した画像のみから現場の詳細な3次元メッシュモデルを取得することが可能であり,そのモデルを活用することで事故の痕跡や軌道部材の確認等に適用可能であることを確認した.また,作成したモデルは,事故時の痕跡の位置やまくらぎ間隔等の寸法測定に対して実用上十分な精度を有していることを確認し,本手法が鉄道脱線事故調査の効率化に有効であることを確認した.