2022 年 3 巻 J2 号 p. 190-200
近年,海岸工学分野でニューラルネットワークおよび深層学習を用いた研究が進められている.特に波浪予測に関して,従来利用されている数値シミュレーションよりも計算コストが優れるため,深層学習を用いた研究が盛んに行われている.しかしながら,既往研究における深層学習は単一地点でのピンポイントな予測が多く,面的な波浪場の予測に関しての研究はあまり行われていない.本研究では,数値シミュレーションにより予報された気象場を入力し,深層学習により波浪の空間分布を求める手法を提案した.学習方法に関して,境界条件である陸域における学習への影響を除くために損失関数に重み付けを導入することで,精度向上できることが確認された.また,入力データは気象場を複数時刻で学習することで波浪の予測精度が向上することがわかった.