2022 年 3 巻 J2 号 p. 498-507
本研究の目的は,様々な流域スケールをもつダムの流入量予測の一般化手法を提案することである.気候変動の影響で全国的に頻発し,今後懸念される大洪水に対し,治水機能をもつダムのみならず,利水ダムにおいても事前放流による洪水調節の強化が施策化された.事前放流を行うためには流入量の予測手法の確立が必要である.しかし,数多くあるダムで個別に予測モデルをつくることは多大な労力がかかり,現実的ではない.そのため,あらゆるダムに適用できる,一般性のある予測手法の確立が望まれる.本研究では,機械学習ベースのモデルである Elastic Net を北海道内のダムに適用し,流入量予測手法の一般化を試みた.結果として,ダム流域の地理情報をクラスター分析し,流域面積で区分することで一般性のある予測手法が提案できた.