2022 年 3 巻 J2 号 p. 508-516
ダム流入量予測に使用される機会の増えたAIモデル,特に深層学習モデルは中身がブラックボックスで,従来モデルを完全に置き換え可能なのかという疑問が付きまとう.また今後大雨の頻度が増える可能性を考慮すると,訓練時に経験しなかった大出水に対応できるのかという問題も避けては通れない.本研究では従来モデルのタンク・モデルを使用して雨量とダム流入量の関係の疑似データを作成し,ニューラルネットワークモデルの訓練・性能評価を行った.その結果訓練期間を長くすると予測誤差が減少し,性能のばらつきが小さくなる傾向が見られた.訓練時のダム流入量の最大値の2倍を超えるような出水に対しては予測性能が悪化し,訓練データをダム流入量によって制限せず,全てのデータを用いて訓練した場合に最善の結果が得られた.