2022 年 3 巻 J2 号 p. 586-593
崩落事故が発生した和歌山県六十谷水管橋を事例として,衛星SAR画像による水管橋の変位解析を行い,異常検知の可能性について考察した.解析の結果,アーチ橋7径間のうち,崩落が起きなかった径間では,類似した変位傾向があることが確認され,崩落した径間では,事故の約1年前から予兆のような異常変位が観測された.また,変位と環境要因との相関分析の結果では,気温との相関が弱いこと,風速とは負の相関があること,がわかった.さらに,"異常変位をもつ径間"の検知手法として,径間ごとの変位データを用いたクラスタリング手法を提案し,崩落した径間の異常を客観的な指標に基づいて検知が可能なことを示した.