2022 年 3 巻 J2 号 p. 682-692
超音波アレイ探触子を用いて内部欠陥をイメージングする手法として,全波形サンプリング処理 (Full-waveforms sampling and processing: FSAP) 方式が提案されている.水中にある任意形状の被検体の内部欠陥をイメージングするために,水-固体の界面での超音波の屈折を考慮したFSAP方式について研究が行われている.この方式は,被検体の外形に追従しながら内部のイメージングを行うアダプティブな手法である.アダプティブFSAP方式では,第1ステップで被検体の外形(水-固体の界面形状)を推定する.第2ステップで,推定した界面での超音波の屈折を考慮し,伝搬経路を計算することで内部のイメージングを行う.本研究では,粒子フィルタを用いて第1ステップにおける界面形状の欠落部分の補間を試み,第2ステップにおける内部欠陥像の精度を向上させることを試みる.ここでは,粒子フィルタを用いて,界面を表現する近似曲線の関数パラメータを最適化することで界面形状を補間・外挿した.数値シミュレーションの結果,本手法によって欠陥イメージング精度が向上することを示した.