2022 年 3 巻 J2 号 p. 848-853
鉄道事業者は新駅設置時に商圏の一種として駅勢圏の推定を実施する.従来は駅中心から半径数km以内を駅勢圏とし,国勢調査などの統計データを用いて利用者数を推定する手法が用いられるが,異方性を考慮しないため,実際の駅勢圏に即していない.近年,IC定期券サービスや経路検索サービスの登場により容易に大規模データの取得が可能となり,空間的に細かい粒度で精度の高い駅勢圏の推定が期待される.本研究では,郵便番号ごとのIC定期券登録数から駅勢圏を定義し,郵便番号ごとの各駅のIC定期登録数を予測する問題として駅勢圏推定を定式化する.さらに対象エリア内の郵便番号から近隣駅までの利便性,駅同士の地理的関係性などの地理空間情報を用いた教師あり学習による駅勢圏の推定法を提案する.