2023 年 4 巻 3 号 p. 163-169
河川空間は,自然の豊かさや水文化・水辺景観を享受できる貴重なオープンスペースである.一方で,親しみのある空間であるがゆえに,ごみの不法投棄,河道内の車両走行などの迷惑・不法行為が多発し,現状復旧や注意喚起などの業務が河川管理上の負担となっている.そこで本研究では,河川管理の高度化・省力化を目的とし,AI技術の一種である深層学習(Deep Learning)を活用した迷惑・不法行為の検知技術を開発している.本稿では,淀川水系で迷惑・不法行為が多発している4か所を対象に,深層学習モデルの畳込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network)による迷惑・不法行為検知モデルと,それを実装したカメラ映像解析・警告発報システムによる実証実験を実施した.その結果,実際の行為を高精度に検知し,検知結果に基づく警告発報が行為の減少に貢献する可能性を示した.