2023 年 4 巻 3 号 p. 265-273
非破壊評価の分野では,構造・材料中の欠陥を推定するための逆解析に関する研究が古くから行われている.本論文では,面外波動問題に対する著者らが提案した畳込みニューラルネットワークを用いた逆解析手法を,縦波と横波両者が連成して生じる面内の弾性波動問題へと拡張する.まず,演算子積分時間領域境界要素法を用いて,欠陥からの散乱波をシミュレートする.その際,多点計測技術として発展してきたリニアアレイ探傷法への応用を考え,複数の受信点での欠陥からの波形を再現する.得られた多数の波形群を画像化し,畳込みニューラルネットワークへ応用し易いようにした後,欠陥の位置を推定するような深層学習モデルを作成する.最終的に,作成した深層学習モデルに未知の欠陥による波形データを与えることで,深層学習モデルが正しく欠陥の位置等を推定できることを示す.