2023 年 4 巻 3 号 p. 285-292
PCまくらぎは鉄道の高速化や安全性の向上に欠かせない軌道の重要な構成要素である.近年では,アルカリシリカ反応等に起因した長手方向にひび割れが入ったPCまくらぎが散見され,それらの維持管理の効率化が課題になっている.そこで本研究では,保守用車に搭載したカメラで撮影したPCまくらぎ上面画像から,ひび割れの発生位置やひび割れ長さを推定する手法として,深層学習を活用した検知手法を提案し,その適用可能性を検討した.その結果,本手法はバラストや締結装置等の誤検知を抑制してPCまくらぎ上面のひび割れの位置及び長さを推定可能であることを確認した.また,本手法によりひび割れ発生状況のスクリーニングを行うことで,ひび割れの多く発生している線区の特定や,発生位置の傾向の把握に適用できることを示した.