2023 年 4 巻 3 号 p. 602-610
近年,強雨の増加に伴い,水害被害が増加している.降雨流出氾濫(RRI)モデルは,洪水氾濫予測を行う上で重要であり,精度の良い計算にはパラメータの最適化が重要である.洪水氾濫予測の高精度化において将来的には計算負荷の低いパラメータ最適化を用いて,時々刻々と変化するパラメータ推定が有効である.そこで本研究では計算効率の高いパラメータ最適化手法を開拓するために,ベイズ最適化をRRIに適用し,パラメータ最適化に必要な繰り返し計算回数を探索した.結果としてベイズ最適化により,RRIは概ね観測値を再現でき,必要な繰り返し計算が従来手法の2から3オーダー程度削減できることが示された.またベイズ最適化によって推定された評価関数の事後確率から,局所最適解の存在を確認し,局所最適解に陥りにくいベイズ最適化の有効性を示した.