2023 年 4 巻 3 号 p. 823-831
レーダ試験を対象とした電磁波伝播シミュレーションにおける,アンテナモデルの未知パラメータを推定することを目的として,有限時間領域差分法(FDTD法)にデータ同化手法の一つであるアンサンブルカルマンフィルタを導入した手法の適用を試みた.同手法の適用の基礎的な検討として,単純な媒質に対するレーダ試験のシミュレーションを対象とした双子実験を行い,アンテナモデルのパラメータの推定精度を検証した.検証の結果,提案手法はアンテナモデルの複数の未知パラメータを同時に推定することが可能であること分かった.また,各種解析条件の感度解析を行った結果,時間増分は,状態ベクトルの誤差共分散行列のアンサンブル近似値に与える影響が大きく,結果として推定精度に与える影響が大きいこと,時間増分はクーラン条件を満たす時間増分の上限値よりも十分小さくする必要があることが分かった.