2023 年 4 巻 L1 号 p. 23-26
豊田市では年間約40kmの水道管路を入れ替えていますが,効率的かつ効果的な管路更新が喫緊の課題でした.そのため,令和2年度に水道管路の更新の優先順位づけを目的に,AI劣化予測診断ツールを導入しました.ただし,山間地域では漏水修繕箇所のデータが少なかったため,診断ツールの精度への影響が懸念されました.そこで,2週間で漏水可能性区域(直径200m)を判定可能とするイスラエルの技術を採用しました.この技術は,衛星からLバンドを放射し,反射特性を解析して漏水可能性区域を抽出するもので,現地での調査対象を2,210kmから257kmまでに絞り込むことができました.漏水の的中精度は27%に留まりましたが,主な成果としては,調査区域の短縮,調査費用の削減,漏水の発見箇所数の増加が挙げられます.また,令和4年2月からは,漏水可能性区域の範囲の縮小,漏水可能性区域の漏水的中精度の向上を目的に実証実験を開始しています.