2024 年 5 巻 3 号 p. 132-141
ベンダーエレメント(BE)法は土のせん断弾性係数を求める手法として低コストかつ非破壊などの利点を持つ.そのため,BE法においてしばしば困難となるS波到達点決定のための手法が提案されてきたが,あらゆる土や試験条件に対して汎用的な手法はない.本報告では,汎用的かつ精度の高いS波到達点予測を目的として,周波数領域の高次元特徴量を用いた深層学習モデルを作成・検証した.数万通りの人工波形の4/5を用いてモデルを訓練した結果,残りの1/5に対しては検証精度の高いモデルが作成された.また,モデル検定のために用いた計173個の実験データに対する予測誤差は最良で11.88%となり,高次元特徴量の一定の有意性が示された.一方で,著者らの既往モデルより予測精度は低く,改めてその低次元特徴量の有用性が示された.