2024 年 5 巻 3 号 p. 142-154
土砂災害警戒情報を発令する際に運用されている土砂災害警戒発生危険基準線 (CL) は,過去の斜面災害とその時の雨量情報を基に設定されている.CLを設定する際に地形・地質情報や植生・土地利用情報を考慮することで,警戒情報発令の精度を向上できる可能性がある.本論文では,CLの閾値となる60分間積算雨量及び土壌雨量指数と地形・地質・植生・土地利用情報の関係を調べるため,決定木を基にした機械学習アルゴリズムであるランダムフォレスト,XGBoost,LightGBMを用いて推定モデルを構築し,それぞれの推定精度を評価した.加えて,再帰的特徴量削減 (RFE) を行い,モデルの推定精度が向上する説明変数の種類を明らかにした.さらに,SHapley Additive exPlanations (SHAP) を用いて説明変数の大小が推定結果へ及ぼす影響の傾向と寄与度 (シャープレイ値) を求め,モデルの推定根拠について考察した.