2024 年 5 巻 3 号 p. 175-185
近年UAVを用いて橋梁点検を効率化する研究や取組みが進められているが,時間や労力などのコスト低減だけでなく近接目視と同等の損傷認識性能を保証することも重要である.本研究では,鋼鈑桁橋の部材点検を対象に飛行経路最適化を行い,仮想空間に作成した橋梁3Dモデルでの飛行シミュレーションで点検部材への視野を検証した.点検要領に基づいて損傷が起こりやすい部位を特定し観測点と視点重要度を決定し,重要な観測点での視野を優先的に獲得する経路最適化問題を複数の最適化法で検証した.その結果,視点重要度を考慮してもアントコロニー最適化(ACO)法では短い飛行経路を導出することがわかった.視点重要度を考慮すると経路長は長くなるが,飛行シミュレーションの結果から橋梁点検で求められる近接目視と同様の画角が得られることを確認できた.