2024 年 5 巻 3 号 p. 487-494
大規模言語モデル(以下 LLM)は,ChatGPTの公開を契機として急速に広がっており,ToM(Theory of Mind)に代表されるような他者の意図・信念・願望・知識などの心の状態を理解・予測する能力についても多くの研究報告がある.ToM分野は人々の性格・行動・感じ方を勘案した都市計画など土木分野への応用も期待できる一方で,行動や感じ方に関するデータと性格データを紐づいた形で収集することが困難であるという課題が存在する.本研究では,アンケートの実施と性格診断を同時に行うことでデータセットを整備し,LLMによるアンケート回答者の性格推定が可能かどうかを検証した.蓄積されたデータはまだ200 名規模と大きくないが,アンケート調査のような比較的短い文章からでも一定精度で回答者の性格特性を推定できることが確認でき,人の行動や心理の分析といった分野への活用可能性が十分に高いことが明らかとなった.