2024 年 5 巻 3 号 p. 631-639
令和 6 年能登半島地震において被災した石川県輪島市では,インフラ復旧の遅れに伴い長期の避難生活を余儀なくされる住民が多数発生している.本研究ではKDDI Location Analyzer より取得した輪島市内 26区域における夜間人口推移データを用いて時系列クラスタリング実施し,中長期的な夜間人口の流動傾向をもとに各地域を分類する.分析を通して,被災地における居住人口推移の把握が本研究の目的である.分析の結果,地域間において地震発生時点から夜間人口のピークが観測された時点までに要した期間に顕著な差違が見られた.夜間人口のピーク到達におけるタイムラグは同地に居住していた人口の帰還実現に要す時間の地域間格差を捉えたものであり,復旧過程にある被災地の現状把握に関する知見が得られた.