2024 年 5 巻 3 号 p. 769-777
鉄道における軌道部材の検査や台帳整備等の維持管理業務は,一般的に保線技術者が現地に出向くことで行われており,保線の現場に大きな負担がかかっている.このような背景のもと,これまでに木まくらぎを対象とした木まくらぎ劣化度判定システムを開発してきた.本研究では,軌道部材状態を一元的に把握することを目的に,木まくらぎ以外のまくらぎやレール締結装置種別を識別可能な軌道部材識別モデルを構築した.また,キロ程推定精度向上を目的に,軌道検測車の測定データの位置補正に使用されるデータデポを活用したキロ程補正手法を開発した.さらに,これらの手法をこれまでに開発した木まくらぎ劣化度判定システムに実装することで,新たに「軌道部材状態評価システム」を構築し,本システムを活用した効率的な軌道部材管理手法を提案した.