2024 年 5 巻 3 号 p. 786-799
我が国で運用されている土砂災害警戒情報の的中率は5%程度と極端に低い.その原因の第一は60分雨 量と土壌雨量指数からなるデータを時系列とはみなさず,独立に発生したデータポイントとして処理して いることに起因する.第二はその独立したデータをもとに計算された閾値であるRBFN出力値が,土砂災害の発生と関連付けて生成されていないという点にある.したがって,この警戒情報の精度を上げるには,雨の降り始めから災害が発生するまでの降雨データを時系列データとして入力した統計モデルを構築したうえで,災害発生と関連した出力が得られるかを評価する必要がある.本研究は,その一案として一般状態空間モデルを用いて土砂災害発生降雨に含まれる特異値を検出する方法を示し,その妥当性を検証したものである.