2024 年 5 巻 3 号 p. 84-94
鉄道用レールのふく進(長手方向変位)の詳細かつ定量的な予測は,軌道座屈に対する安全性の向上と管理コストの低減のために重要である.本稿では,線路の水平方向2次元の静的弾塑性 FEM 解析プログラムを開発するとともに,既往のレール温度予測モデルとの連成解析により,ふく進および軌道座屈の発生を解析的に予測する手法を提案した.既往の1次元解析モデルとの比較を行い,開発プログラムの妥当性を確認した.また,開発プログラムは,軌道座屈前の挙動および座屈発生温度 TAを,既往の座屈解析モデルと同程度の精度で解析できることが分かった.さらに,GIS線路データを用いて解析を行う上で,曲線部の角折れが問題となったため,角折れを指定半径 R の円弧で置き換え,さらに移動平均を行う平滑化手法を提案し,その有効性を確認した.