2025 年 6 巻 2 号 p. 138-149
現在,我が国では橋梁の老朽化が進行し,地方公共団体においては,技術者不足や財政制約といった課題が顕著となっている.そのため,限られた資源を有効活用するため,統計的劣化予測を基に補修優先順位を決定することが求められる.本研究では,近年注目されている群マネの考え方の一つである広域連携に基づき,複数の管理主体の橋梁点検データを統合する.そして,混合マルコフ劣化ハザードモデルを用いた劣化予測手法を適用することで,管理主体ごとの期待寿命を算出した.さらに,管理主体ごとに健全度判定基準が異なる場合,そのままではデータの統合が困難となるため,統合前後の健全度の対応関係をモデル化する手法として隠れマルコフ劣化ハザードモデルを提案する.これにより,データの統合を可能にするとともに,より精度の高い劣化予測を実現することを試みた.