2025 年 6 巻 2 号 p. 159-172
北海道では人口衰退や財政難などの社会課題に加え,インフラの経年劣化が深刻である.維持管理のための資本不足もあり合理的な維持管理が急務だが,各市町村の状況は様々で考慮する要素が多く,一律の対策検討は難しい.そこで本研究では,異なる市町村状況に合わせた効果的な維持管理指針の提案を実現しうる手法の確立を目指し,多様な要素を含んだ定量的かつ包括的な市町村の分類・分析を行った.社会状況や構造物のオープンデータを用いて179市町村をクラスタリングし,結果の可視化とデータ整理による分析から,社会状況の困難度や維持管理体制の特徴,周辺地域への影響など市町村群ごとで異なる現状や課題が明らかになった.この結果は市町村同士での課題共有の促進,国や都道府県による政策立案の定量的指標としての活用が期待できる.