2025 年 6 巻 2 号 p. 237-246
近年,ICT/IoTを活用したインフラの構造ヘルスモニタリング(SHM)において,変位計測手法の一つとして,GNSSやSARなどの衛星技術の活用が注目されている.これらの技術は,ノイズを含む観測データの取り扱いに注意が必要だが,3次元の変形を長期かつ連続的に計測できるという利点を有している.そのため,橋梁の維持管理や異常の早期検知への応用が期待されている.
本研究では,5径間連続鋼箱桁曲線橋を対象に,RTK-GNSSにより取得された3次元変位データを用いて,ノイズ除去手法の開発および変形挙動の解析を行った.さらに,夏季に上部構造で観測された明らかな異常変形を踏まえ,その発生を的確に捉える異常検知アルゴリズムを構築し,検証を行った.本稿では,これらの取り組みと得られた知見について報告する.