2025 年 6 巻 3 号 p. 240-246
近年,課題とされるオーバーツーリズムに対して,自然環境を観光資源とする地域における持続可能性を確保するために,包括的なモニタリングの結果に基づいたマネジメントが求められている.特に登山道では,登山ブームにより利用者が増加しエコツアールートとして利用される一方で,踏圧による植生の後退をはじめ自然環境への負の影響が懸念され,さらに管理者不足やモニタリングの課題が残る.そこで本研究では,近年,多様な分野で活用されているLiDARを,植生の進退を測る登山道経年変化計測の1次スクリーニングに適用する.西表島浦内川の登山道を対象とし,2時期の3次元点群データを重畳し,幅員方向の差分を算出した.この結果より,幅員方向の植生の変化を可視化でき,LiDARの適用可能性を示すことができた.