AI・データサイエンス論文集
Online ISSN : 2435-9262
階層ベイズモデルを用いた地すべりの経年的分析と発生予測
三好 夢珠笠間 清伸
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 6 巻 3 号 p. 247-254

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抄録

近年,気候変動の影響により土砂災害の激甚化が懸念されており,その発生傾向を地域ごとに詳細に把握することが重要である。本研究では,1983年から2022年までの地すべり発生データを対象に,都道府県ごとの傾向を分析するため,最大1時間降水量および経過年数を説明変数とする階層ベイズモデルを構築した.ゼロの多い地すべりデータの特性に対応するために,ゼロ過剰負の二項分布を採用し,構造的なゼロと偶然的なゼロの発生を統計的に区別した.統計解析の結果,7つの都道府県において地すべり発生数の増加傾向が確認され,地域ごとの発生リスクの違いが定量的に把握できた.最も増加傾向の見られた岩手県では,年間地すべり発生回数がゼロでない割合(非ゼロ確率)は1983年で44.2%,2050年で80.8%と予測された.本研究で得られたモデルは,将来的な降水変動に基づいたリスク予測にも応用可能であり,地域別リスク評価への活用が期待される.

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© 2025 公益社団法人 土木学会
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