2025 年 6 巻 3 号 p. 25-36
社会インフラの定期点検は,一般的に5年ごとに実施されるが,その間に損傷が進行し,次回点検時には補修・補強工事が必要となり,多額の工事費用が発生する可能性がある.本研究では,空港に設置された進入灯橋梁を対象とし,腐食箇所の早期発見による長寿命化を目的として,腐食の自動検出手法を検討した.具体的には,物体検出アルゴリズムである YOLO(You Only Look Once)を用い,主構造部およびボルト部を対象に検証を行った.その結果,同一の腐食であっても,発生箇所の構造形状が検出精度に大きな影響を及ぼすことが確認された.また,進入灯橋梁は設置数が限られており,使用可能な教師データが過去の点検調査記録に限られることからデータ拡張による補完手法を導入し,その有効性を確認した.