2025 年 6 巻 3 号 p. 470-478
本研究では,橋梁点検画像を対象とした連合学習における地域毎のデータの非独立同一分布(Non-IID)問題を克服するため,「動的適応正則化項(Dynamic Region-Adaptive Proximal Regularization, DRAPR)」 を導入した連合学習技術を提案する.連合学習は,各地域組織(クライアント)が自データをローカルに保持したままモデルを学習し,その更新パラメータのみをグローバルモデルに送信することで,データを外部に移転せずとも認識精度を向上させる手法である.しかしながら,地域毎に出現する損傷の頻度が異なるなど,Non-IID 環境下では,モデルの収束性や汎化性能が著しく低下することが知られている.従来手法では,全クライアントに対して固定強度の正則化項を付加し,ローカルモデルとグローバルモデルの乖離を抑制している.一方,DRAPR は,クライアントごとのラベル不均衡度と局所勾配差分を組み合わせて算出される「Non-IID 強度スコア」に基づき,各クライアント固有の正則化係数をラウンドごとに動的に更新する仕組みを導入する.全国道路施設点検データベース(xROAD)の橋梁点検画像を用いた損傷分類実験の結果,DRAPR は比較手法を一貫して上回る精度・再現率・適合率・F1 スコアを達成し,特に Non-IID が強い環境下での収束速度および汎化性能において有意な改善を示した.