2025 年 6 巻 3 号 p. 77-90
本検討では,河川・道路に設置された CCTV の現在の画像と過去の蓄積画像との差異から河川・道路管理者が着目する様々な事象を検知するツールの開発を目的として,LVLM による VQA タスクを用いた事象検知手法の検討を行った.手法の実用性を評価するために,種々の事象(冠水や土砂災害など)が映った実映像と施設管理者の視点で発生事象を問うプロンプトの組み合わせを複数の LVLM モデルに入力し,出力結果を定量的な評価指標(適合率,再現率,F1-score)により比較・評価することで,実用に足る LVLM モデルや道路および河川における検出可能事象,映像上の条件や留意事項,システムの入力条件の方向性を明らかにした.また,誤検知や未検知の発生要因を考察,整理した上で検知精度向上に向けた対応策を検討した.