2026 年 7 巻 1 号 p. 298-305
水蒸気の鉛直積分量である可降水量(PWV)は,数値予報およびデータ駆動型 AI 予報における降水量予測において重要な役割を果たす.データ駆動型 AI 予報の運用には,過去の予測値に観測データを同化し,リアルタイムに大気データの面的分布を取得することが不可欠である.本研究では,Adaptive Fourier Neural Operator(AFNO)によるデータ駆動型AI予報で用いられるPWVを, GNSS および気象衛星ひまわりの輝度温度から同化する手法について検証した.GNSS およびひまわり輝度温度によるPWV は,いずれも30分以内に取得可能であり,リアルタイム運用に適していることを示した.また多地点での AFNO 大気予測モデルにおけるモデル誤差および背景誤差との相対比較において,GNSS 由来PWVの観測誤差は小さくなることが示された.一方,ひまわり輝度温度から推定されるPWVの観測誤差は相対的に大きくなり,AFNO大気予測モデルのリアルタイム運用には,衛星観測が主に担う海上領域における観測誤差低減が課題であることが示された.