AI・データサイエンス論文集
Online ISSN : 2435-9262
スマートフォンGPSデータによる令和6年能登半島地震被災5市町の役場周辺人流動態の比較分析
竹永 靖郷右近 英臣
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2026 年 7 巻 2 号 p. 315-327

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抄録

令和6 年能登半島地震で被災した能登地方では,住民基本台帳人口の継続的な減少が報告される一方で,被災後の人流動態については体系的な把握が十分に行われていない.本研究では,被災地の役場周辺5 地点(輪島市役所,珠洲市役所,能登町役場,穴水町役場,七尾市役所)を対象とし,スマートフォンGPSデータから観測された推定来訪者数の変化傾向を分析した.分析期間は被災前(2023 年4 月〜9 月)と被災後(2025 年4 月〜9 月)の同一月構成(4-9 月,n=6 vs n=6)で設定し,季節要因を統制した.分析手法は,Welch のt 検定と効果量Cohen's d,コサイン類似度,Ward 法階層クラスタリングを用い,再現性を確保した.その結果,5 地点全てで推定来訪者数の統計的に有意な増加傾向(被災前比2.47〜3.20 倍,d=2.83〜7.38,全地点p<0.01)が確認された.曜日プロファイルは被災前後で類似度0.99 以上を維持(構造的安定性),Ward 法では震度7 と大規模火災を伴った輪島市役所が独立する階層構造が抽出された(地点間差異).人口統計の減少傾向とは対照的に,役場周辺における推定来訪者数は被災前を上回っており,住民基本台帳人口のみでは把握しにくい動的な地域活動が継続している可能性が示された.

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