2022 年 1 巻 1 号 p. 363-371
ダム維持管理における安全管理では,目視等での点検とともに漏水量,変形等の各種計測データの監視が異常検知のための基本的かつ重要な手段となっているが,長期供用ダムが増加する中,経験豊富な熟練職員は減少している.このような状況に対応し,将来にわたり管理者がダムの異常有無の判断を的確に行えるよう,各種計測データを一層有効活用していく工夫が必要と考えられる.
このため,本研究ではダムの管理者による異常有無の判断支援を目的としたAI技術の活用可能性について,コンクリートダム堤体変位の時系列データを対象に試行的検討を行った.その結果,再帰型ニューラルネットワークの一種であるLSTM(Long Short Term Memory)の活用が期待できる結果が得られた.