2022 年 1 巻 1 号 p. 372-377
橋梁定期点検要領が策定されたことで近接目視による橋梁の定期点検が法定化された.しかし,対象となる橋梁は全国に約70万橋存在し,技術者の不足や点検費用の捻出が課題となっている.維持管理における省力化を目的として橋梁3Dモデルを導入する研究が行われており,VR(Virtual Reality)を用いた手法では,交通や天候等の現場環境の影響を受けずに点検の疑似体験をすることができる.また,人の目では観測しづらいひび割れなどの損傷をモデル上に強調表示することによって点検を支援することができると考える.そこで本研究では,橋梁3Dモデル上にAIによるひび割れの強調表示を反映させ,損傷箇所の確認を容易にした橋梁3DモデルをVR空間上で観察するシステムを開発した.