2023 年 2 巻 1 号 p. 1-10
道路法施行規則改正(平成26年3月31日公布,7月1日施行)により,道路橋の定期点検では,必要な知識および技能を有する者が5年に1回の頻度で近接目視点検を行うことが義務化された.そのため,点検技術者の効率的な養成が喫緊の社会的要求事項と考えられる.現状の点検技術者教育で用いられるテキストによる座学は,比較的容易に実施できるが,実際の構造を十分に理解することは難しい.対して現地実習は,実構造物を見ることができるが,現地の準備や安全性の確保に労力を要することや実習できる人数に制限がある.これら座学と現地実習のメリット・デメリットを補完するため,仮想空間で効率的に疲労き裂の発生部位と発生原因を学習可能とするシミュレータの開発を実施した.