2023 年 2 巻 1 号 p. 101-108
鉄道事業における構造物の設計法の適用は,事業者が国土交通省に届出た実施基準に従っている.ここで,大都市部の既存の地下鉄構造物をみると,供用後50年が経過するものが増加しつつある.また,建設時期が異なる構造物の設計法は荷重系・構造モデルなどが適宜合理化され適用されてきている.本研究は,1層2径間および2層3径間の鉄道開削トンネルを例として,掘削深の浅い場合と深い場合における構造モデルおよび側方土水圧の算定式の違いが,部材の断面照査に及ぼす影響を検討した.その結果,構造モデルの違いが,曲げモーメントに及ぼす影響が大きいことを確認した.また,側方土水圧の算定式が異なることによって,下床版の隅角部の断面照査に大きく影響を及ぼすことを確認した.