2023 年 2 巻 1 号 p. 109-117
列車がバラスト軌道上を繰り返し走行すると,列車荷重等により軌道変位やレール凹凸が徐々に大きくなる.そこで,有限な保守費の中で,中長期的に列車の安全性や乗り心地を維持する保守計画が求められる.一般に,バラストをつき固めて軌道のゆがみを整正する軌道変位保守と,レール凹凸を除去するレール削正を同時期に行うことで,保守周期を延伸する「組み合わせ保守」効果が得られることがわかっている.しかし,本効果の定量分析や効果推定のモデル化は新幹線で行われたものであった.そこで本論文では,組み合わせ保守の実用化と汎用性向上に向け,在来線において組み合わせ保守効果の実地試験を行い,その効果の検証を行った.加えて,在来線において組み合わせ保守を行った場合に実現する線区全体の軌道状態についてシミュレーションを行った.