2023 年 2 巻 1 号 p. 179-186
本研究は,ハンディ型蛍光X線分析計によるコンクリート構造物の塩害調査方法について実験的に検討したものである.まず,塩分を含有させた供試体を用いて本装置の計測精度について評価するとともに,従来の化学分析法による塩分分析結果との関係を整理した.次に,塩害環境下に供用される実構造物に対して本装置による構造物表面および内部の塩分分析手法について検討した.これらの試験の結果,本装置と従来の評価指標であるイオンクロマトグラフ法による塩分分析結果には高い相関がみられ,本装置によりコンクリート中の塩化物イオン濃度を定量的に評価可能であることを明らかとした.さらに,本試験装置とドリル法を組み合わせることにより,迅速かつ簡易に構造物表面および内部の塩分プロファイルを現地にて評価することが可能であることを示した.