2026 年 5 巻 1 号 p. 298-307
我が国の経済の大動脈を担う東海道新幹線は,1964年の開業以来長期間供用されている.今後とも将来にわたり土木構造物の健全性の維持は重要課題である.1987年の民営化後には,部外有識者も含めた調査委員会を設置し,土木構造物の長寿命化を目指して,健全性の評価と課題を抽出した.正確な実態把握を目的とした検査専門組織の創立および「鉄けた特別検査」の追加による検査体制を整備した.2002年には,鋼橋の取替等の大規模改修が近い将来必要であると判断した.大規模改修のための多大な工事費に対し,国による民営企業に対する財政的な措置として「新幹線大規模改修引当金制度」が創設され,初めて認可された.本稿では,鋼橋に焦点を当て,2013年度に着手,今年度完遂した「予防保全」による大規模改修の当初計画と変更内容,政策・法制度の整備並びに運休・徐行を伴わない改修内容とその効果を報告する.