2001 年 2001 巻 682 号 p. 245-256
神山, 吉田は, complex envelope を用いて, 応力とひずみの時刻歴から, 剛性や減衰の時刻歴変化を算出する方法を提案し, 同手法を実観測記録に適用している.
本論文では, 神山らが提案している手法の妥当性や適用性について, 理論的, 数値解析的に考察した. その結果, 一般的には, 同手法により正確な複素剛性は算出されないことが分かった. ただし, 剛性が高周波成分を含まず, ひずみが低周波成分を含まないという条件が満たされる場合には, 同手法により正確な剛性が算出されること, また, この条件が近似的に満たされる場合には, 同手法により剛性の近似値が得られることが明らかになった.