2008 年 64 巻 2 号 p. 488-501
本研究は,橋梁を対象として損傷度評価による現状把握,信頼性理論に基づいた劣化予測,ならびに対象橋梁のユーザーコスト(UC)と再建設費用を算出し,これらの異なるパラメータについて包絡分析法(DEA)を適用して解析することにより,補修優先橋梁の選定が行えるような手法に関して検討を行うことを目的とする.具体的には,ある管理管内における橋梁群を仮定し,各橋梁の点検データを用いた現在の損傷度評価,信頼性理論に基づいた余寿命予測,ユーザーコストと再建設費用をパラメータとして抱絡分析法を用いた解析を実施した.解析結果からは,本手法は単位系の異なるデータを一括して取り扱うことが可能であり,それぞれのパラメータの順位決定への影響が容易に検討可能なため,非常に高い適用性,有効性等を有することが判明した.