2008 年 64 巻 2 号 p. 502-512
複合構造物のずれ止めのずれ耐力を把握するために,押し抜き試験や引き抜き試験が実施される.孔あき鋼板ジベル(PBL)の終局ずれ耐力は,PBLプレートの降伏かコンクリートの破壊のどちらかによって決まるが,後者では,孔周辺のコンクリートの破壊に抵抗する種々の拘束因子がずれ耐力に影響する.本研究では,コンクリートの拘束条件を変えて,押し抜きおよび引き抜き試験を実施し,孔部コンクリートのひび割れを拘束する因子の観点からPBLの終局せん断挙動を調べた.その結果,コンクリートのひび割れを拘束する因子として,かぶり部のコンクリート,孔内貫通鉄筋,孔周辺に配置された鉄筋などがあること,また,押し抜き試験では,供試体とテストベッドの間の摩擦による拘束がPBLのずれ耐力に大きく影響することを明らかにした.