抄録
本研究では,1050日間にわたる長期間の塩水噴霧複合サイクル環境促進実験を行い,国内で広く鋼橋に適用されているA, B, C, I塗装系の4種類の塗装防食に対して,弱点部とされる角部に着目し,角部加工なし(E0),面取加工(E1),曲面加工(R2)の3種類に鋼板角部を加工した供試体を用いることで,角部形状が角部の膜厚と防食耐久性に与える影響について明らかにした.その結果,各塗装系に対して角部の加工形状により角部の膜厚に大きな違いが生じることを定量的に示した.また,既存橋梁の多くに用いられているA塗装系ではE0に比べR2で大きく防食耐久性が向上した.C塗装系ではA塗装系とは異なり,E0においても十分な防食性能が確保されており,今回の条件ではE0とR2を比べても大きな違いは見られなかった.