抄録
コンクリート中を伝搬する超音波の特性を定量的に把握するために,動弾性有限積分法(EFIT)を用いた数値解析と計測実験を行った.本研究では,コンクリート中の縦波の音速,周波数,減衰の3つに着目し,骨材率が異なる場合の各量の変化について調べた.解析では骨材の大きさ・分布形態を考慮し,コンクリートを3次元非均質モデルとして要素分割した.骨材率の増加に伴う音速の上昇と波動の多重散乱による中心周波数の低下については,数値シミュレーション結果と計測実験は良好な一致を示した.減衰についても,骨材率が増加すると両者の減少傾向は概ね一致するが,骨材分布に大きく影響を受けることがわかった.EFITを用いれば,コンクリート中の超音波の音速,周波数,減衰の変化を定量的に模擬できることを示した.