2014 年 70 巻 2 号 p. I_33-I_42
構造物の劣化や環境の特性はそれぞれ異なるため,劣化進行には大きなばらつきが生じる.劣化状態を健全度と特性指標の2つのパラメタによって表し,グルーピングと経過年数に対する回帰曲線群の推定を統計的に同時に行う方法の提案を行った.提案方法はEM (Expectation Maximization)アルゴリズムやPSO (Particle Swarm Optimization)法を組み合わせた多目的曲線群算定法と解釈することができる.劣化が進行した構造物ではそのばらつきも大きくなる傾向があるため,劣化進行に応じてばらつきの大きさが変化する定式化の提案も行った.提案手法を岐阜県橋梁点検データに適用したところ,特性の異なる3本の劣化曲線群を推定することができ,別途実施した詳細な情報に基づくグルーピングとその回帰とある程度一致した結果が得られた.