抄録
都市キャノピーや植生キャノピーといった複雑な障害物群を過ぎる流れの実用的な予測においては,そこで生じる抵抗をマクロに表現する,いわゆる抗力モデルが一般的に利用される.本研究では抗力係数と見付面積をパラメータとする古典的な抗力モデルの性能評価を,円柱群を過ぎる一様な2次元流れの詳細なデータベース(横嶋ら, 土木学会論文集B1, 70(4), I_829, 2014.)を用いて行った.対象となる障害物群のマクロな抗力係数を何らかの方法でうまく推定できれば,抗力モデルは流れの大まかな平均流特性を良好に再現できることを確認した.障害物群内部での抗力係数の空間分布をモデルに反映することで,障害物群前縁で典型的に生じるよどみ現象の再現性は高まるものの,その効果は流れ場全体には及ばないことも示した.