2014 年 70 巻 2 号 p. I_73-I_80
本研究は,ベイズ的アプローチを実橋長期モニタリングデータおよび仮想損傷データに適用することで,温度および通行車両の影響を考慮した長期橋梁振動ヘルスモニタリングを検討した.線形システムモデルの係数で定義した損傷指標を用い,ベイズ回帰により残差を求め,閾値内に収まる割合およびベイズ仮説検定を用いて意思決定を行った.実橋長期モニタリングデータへ適用の結果,対象橋梁では時間帯を限定したモニタリングデータを用いることにより,通行車両の影響を低減できる可能性があると考えられ,健全時のデータを用いたベイズ仮説検定では,橋梁の損傷可能性はかなり低いと判定されることがわかった.仮想損傷データへ適用の結果,平均が一定でも,扱うデータ数が大きくなれば,損傷可能性が高くなることがわかった.