抄録
球面レンズのカメラを使用した中性子ラジオグラフィの取得画像には,レンズの収差による歪曲が含まれる.また,被写体を透過する際に発生した散乱中性子線は,被写体外の透過中性子強度が高くなるにじみ効果や,被写体端の透過中性子強度が低くなるエッジ効果として,透過中性子強度の精度に影響を与える.本研究では,パラフィンとアルミニウムを等間隔で配置したスリット試験体の取得画像から,歪曲収差による誤差を補正し,中央に凝灰岩を設置したモルタル板試験体の取得画像から,畳み込み計算を用いて散乱中性子線による誤差を補正する方法を提案した.提案した補正方法で算出したモルタル板試験体の水分強度により,試験体内部の水分分布を把握することができ,また水分強度の変化より,凝灰岩からモルタルへ水分が移動した可能性が推察された.