抄録
本研究では,複数箇所からの揚水を伴う不均質地盤を対象に,揚水井の集水域境界を推定する方法を考案した.地球統計学的に30種類の透水係数分布を生成し,後方粒子追跡法を用いて得られた30種類の粒子群分布の座標情報をアンサンブルすることで簡便に集水域境界が推定できることを示した.また,揚水井に溶質が到達する領域を集粒域と定義して,ランダムウォーク粒子追跡法の応用により集粒域を確率的に推定する方法と揚水井への粒子到達時間の空間分布を推定する方法について考案した.揚水量と揚水位置を変えて集粒域確率を推定した結果,揚水量の増加ともに不確実性は減少することがわかった.本提案手法を用いて,単一の揚水井,あるいは,複数の揚水井に対する集粒域分布と平均到達時間の分布を同時に推定できることを提示した.