抄録
著者等は,無線センサネットワークのセンサとして安価な1周波GPSを採用した変位モニタリングシステムの開発を進めてきた.1点あたりのコストが低減するため,多点高密度な変位モニタリングが実現できると考えている.本研究では,まず,実現場と同等な環境下で準静的変位モニタリング実験を行い,カルマンフィルタ適用後の推定値で約1cmの精度が得られることを確認した.また,急激な変位が発生した場合の測位性能の改善を試みた.急激な変位が発生する問題は,通常のGPS測位解析と同様に整数値バイアスを決定する必要があるが,SN比を用いたフィルタや重みづけによりFix率の改善を試みた.さらに,決定しづらい整数値バイアスが存在する場合には,その整数値バイアスを決定しない再探索アルゴリズムを導入することで,Fix率が改善することを示した.