抄録
東北地方太平洋沖地震での津波被害を経験し,また南海トラフ地震が危惧される現在,実務レベルの防災検討に有効な高精度な津波遡上解析ツールの構築が求められている.著者らも独自の安定化ISPH法を提案し,街区の3次元津波遡上解析への応用を検討してきた.事前検討において,都市全体を高精度に解析するには,最低限でも2m間隔程度以下の粒子解析モデルが必要となり,総粒子は1億粒子程度が必要となるものと概算している.1億粒子以上の大規模計算は,スパコンの使用を想定しても計算時間と使用メモリの両面から非現実的であり,数値解析アルゴリズムの見直しが急務であった.本研究では,これまで圧力を陰的に時間積分を行っていたISPH法の陽解法化を図り,その解析精度の検証を行った後に,津波遡上解析への適用した.